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エコと技術の未来はお江戸に学べ! 作家・石川英輔氏にきく

「エコ」や「リサイクル」が注目を集める昨今ですが、実は「江戸時代こそ究極のエコ社会だった」と聞けば、驚きますか? 江戸社会に学ぶエコの考え方と技術を、作家の石川英輔氏にききました。

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作家・石川英輔氏(写真左)いわく「江戸社会こそ理想的なエコロジー社会だった」。果たしてその中身とは?

 『大江戸リサイクル事情』『大江戸テクノロジー事情』(講談社文庫)などの著書があり、実証的な江戸研究では定評のある石川氏。「江戸時代は太陽エネルギーをくまなく利用しつくした、理想的なエコロジー社会だった」と主張します。

リサイクル社会が三百年以上前に成立

―ところで、江戸時代には太陽電池や太陽熱温水器などというものはありませんでしたよね。それなのに、太陽エネルギーを利用した・・・と言われてもすぐにはピンと来ないのですが?

 「当然、江戸時代にはそんなものありません(笑)。でも、江戸時代が太陽エネルギーをくまなく利用した循環社会だということは、間違いないんです。
 つまりどういうことかというと、水車がありますよね。あれ、何で回るんだと思いますか?」

―水の力ですよね。

 「そうです。では水はどうして流れるかというと、降った雨が川となって流れますね。その雨を降らせるのは、海の水を蒸発させて水蒸気を作る、太陽エネルギーに他なりません」

―なるほど。

 「他にもありますよ。江戸時代の照明は、前の年の太陽エネルギーでした。あの頃の明かりは、何で灯していたか、知っていますか」

―菜種油に、ろうそく、ですか。

 「その通り。菜種油もろうそく(和ろうそく)も、前の年に収穫したナタネや、ウルシ科の植物の実から取れる「木蝋(もくろう)」が原料です。これらから油や蝋を搾り出すのは大変な労力が必要で、ろうそくなどは贅沢品だったほどです。ちなみにナタネを絞ったあとの絞りかすは窒素分を多く含む肥料として畑にまかれました。全く無駄がないのです」

―ふーむ。

【石川英輔氏】
1933年京都府生。会社経営のかたわらSF小説を
執筆し、小説『大江戸神仙伝』の執筆を機に
江戸時代の考証を開始。現在は文筆業に専念し、
著書多数。

 「肥料といえば、江戸時代のトイレは言うまでもなく汲み取り式ですが、ここから出る人糞も「下肥(しもごえ)」といって、作物を育てる貴重な肥料だったんですよ。
 最近でこそ「有機農法」とか言いますが、江戸時代は有機農法だらけ、有機農法しかなかった(笑)。大体エコロジーとかボランティアだとかもっともらしく言うけれど、今話しているように江戸社会はそれ自体がエコロジカルで、近所で助け合うのが当たり前だからボランティアなんて言葉もないわけ。
 それはともかく、「下肥」を使うことがどれだけ凄いことか。江戸の人口が百万として、一人当たりの年間し尿生産量が600リットルとすると、江戸全体ではざっと50万キロリットル。これを化学肥料に換算すると5万トン(!)で、これを生産するのに必要なエネルギーは重油換算で1万キロリットルにもなるんですよ。
 こうして下肥は江戸周辺の田畑に投下され、それを栄養分に米や野菜がとれ、それを江戸の人たちが消費して、再び下肥として畑にまかれる。江戸の人々は、この完璧なサイクルを重油なんか一滴も使わずに太陽エネルギーの力だけで運転していたわけです。

 同時代のパリが街中糞尿だらけだったというのは有名な話ですし、東京だって今では下水道を張り巡らして膨大な石油エネルギーを投下してし尿を処理している。私の目からすれば、文明の進歩とか言うけれど、何をもって進歩というべきなのか。先人の知恵を少しは見習ってもいいのではないですか」

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