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エコと技術の未来はお江戸に学べ! 作家・石川英輔氏にきく

「エコ」や「リサイクル」が注目を集める昨今ですが、実は「江戸時代こそ究極のエコ社会だった」と聞けば、驚きますか? 江戸社会に学ぶエコの考え方と技術を、作家の石川英輔氏にききました。

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テクノロジーの方向は江戸に学べ

錦絵。髪の毛の生え際の細かい彫刻や、折鶴模様のエンボス加工など、細かな細工が凝縮している

―江戸社会が太陽エネルギーを動力とした完璧なリサイクル社会だということは、よくわかりました。しかし、1億2千万の人口を抱える現代の日本で、江戸のような定常社会をつくることは可能でしょうか。ご存知の通り、今の社会はエネルギー源として化石燃料や、放射性廃棄物という厄介なゴミを出す原子力発電に多くを頼っています。

 「今まで通り工業国であり続けようとする限り、そりゃ難しいでしょうね。私はいつも言うんですよ、大規模発電なんてしなけりゃそれに越したことはない、と。太陽光や風力で発電して、でも自然エネルギーにはムラがあるから、蓄電池に充電して電力を平滑化する。そうすれば、出来ないことはないです。でも、電気代は今の10倍になるでしょうね。そういう覚悟はありますか?」

―ムム。僕個人は、なるべく節電して、クルマの利用も控えるようにしていますが。今日の取材も自転車で参上しました。

江戸庶民が親しんだ錦絵本

 「希望がないこともないんです。私が小さい頃は、自宅で音楽を楽しむときは電気蓄音機を使っていました。SP盤というレコードは録音時間が短いからこまめに替えなきゃいけないし、アンプ(増幅器)に真空管を何本も使うから百ワット以上も電気を消費したものです。それが今ではiPodでしょう。iPodの消費電力なんてたかが知れてます。しかも大変な長時間、音源を取り込めるわけですし。デジカメもそう。銀塩フィルムカメラはフィルムの製造、現像、印画紙の保存、現像廃液の処理に膨大なエネルギーを消費しますが、デジカメは作像に伴うエネルギー消費を大幅に減らしました。

 そうやってエネルギー消費が低くなるように技術を活用すればいいわけです。一般に電気製品は小さいほどエネルギー消費が減りますから、そっちの方向に技術を磨き上げればいい。そして日本は江戸の昔から小さく小さく作り込む技術に長けている。この錦絵の版画なんかご覧下さい。この小さな本に細かい彫刻やらエンボス加工やら、版画職人の高い技術がぎっしり詰まっている。ここにエンジニアが学ぶものがあると、私は思いますね。まあ、iPodなんかは米国製ですが(笑)」

―ありがとうございます。

石川氏。自宅の庭にて撮影

 石川氏は著書『大江戸テクノロジー事情』の中で、江戸時代は技術を軍事や効率のためには使わず、もっぱら趣味や芸事などの「ひまつぶし」に用いた、と記しています。また『大江戸リサイクル事情』においても「文明開化で西洋のまねに狂奔するだけでなく、伝統的な目的(リサイクル技術の向上:記者註)に科学技術を利用しようという雰囲気があれば、日本の社会も今とはずいぶん違っていたとおもう」と述べています。
 技術が目先の便利さや短期的な効率、合理性だけを追い求めた結果、リサイクル不能な廃棄物があふれ、どこか非人間的な、よそよそしい社会が出来てしまったとは思いませんか。持続可能で、人間の身の丈にあった技術。そしてそれを使いこなすエンジニアこそが、今この時代に待望されているのではないでしょうか。

(取材日:2009年6月9日)
(取材・文・撮影/斉藤 円華

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