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エンジニアなら、誰もが陥りがち? あなたの傍にもいる“徹夜中毒者”伝説

納期を死守するIT業界。SEの多くは、繁忙期には超が付くほど多忙を極め、殺人的なスケジュールで働くことがあると耳にする。読者の中にも、カットオーバー直前に徹夜を経験した方も少なくないだろう?

システムエンジニアにとって、切っても切り話せないのが徹夜だ。「きつい、厳しい、帰れない」の3Kはエンジニアにとってもはや当たり前といった認識が業界に根づいている。「リリース後、オフィスの中で数十人が寝ていた」、「徹夜日数を競い合った」。IT会社の多くには、こんなような「伝説のプロジェクト」があることが一般的だ。さらに一部の会社では、伝説のプロジェクトが武勇伝のように語りつがれ、「徹夜=努力」と賞賛し、美化されている傾向すらあると聞く。こうした徹夜の日々から身を守る手段は3つしかないと取材で確信を得た。

(1)PL・PMなどのプロジェクトをコントロールするポジションへ昇進する
(2)社内SEなどへの転職や異業界転職をして、IT業界から離れる
(3)労働基準監督署に告発して、会社の待遇が改まるのを待つ
 

上記の3つの方法で徹夜から解放される人は極わずかだろう。特に最近は不景気であり、転職には高いリスクが伴うし、昇進も目 指しにくい。また、会社自体が苦しんでいる状況で告発に効果を期待しにくい。つまり、自らの身は自らで守るしかないのだ。そこで、エンジニアlive編集 部は、3人の日常的に徹夜する「徹夜中毒者」に取材を敢行した。彼らに徹夜の実態と睡魔と戦う方法を聞いてみた。

ケース1:入社3年目、目の前の業務に忙殺される日々で感じる若者の不安 

黒島和正さん(仮名)は入社3年目を迎えた24歳の若者だ。都内の有名私立大学を卒業し、コミュニケーション力に長け、活動的。性格もとても明るく、同期入社者の中ではムードメーカー的な役割を務める好青年。しかし明るい性格とは裏腹に顔色が良くはない。どこか頼りない印象すらある。それは彼も徹夜中毒者と言わざるを得ない日々を過ごしていることが関係しているのだろうか。

「入社してから5キロやせましたよ。ゆっくりですが、今もどんどん体重は減っていますね。徹夜は多い週なら連続3日間くらいしていますね」
ハードなことを平然という黒島さん。その表情から厳しい環境にいることが伺える。取材を進めていくと1年目の頃には、徹夜にある種のステータスを感じていたことを話してくれた。
「実は入社当時は、『徹夜するほど目一杯働いているってなんかカッコイイじゃん』みたいに思っていたんです。学生時代の友人に話しても、『お前すげぇな!』って羨望の目で見られることがあって、仕事が出来るヤツに見られる。徹夜自慢みたいなところがあったんですよ。体力的にも、多少はきついけど、若さがあるためか平気でしたね。むしろ頑張っているって周囲の先輩たちが評価してくれて嬉しかったんです」

黒島さんの会社は、ベンチャー企業。仕事が終わらなければ徹夜も厭わない環境だ。加えて黒島さんの周囲の先輩たちは何連泊もこなしてきた社内でも有数の徹夜中毒者が揃っていたという。この環境が黒島さんの徹夜に拍車をかけていたことは想像に難しくない。しかし、若さに任せてハードの日々を送っていた黒島さんに限界が来た時期があったという。
「2連泊した週末に風邪を引いちゃったんです。普段なら1日寝れば治るのに、その時の風邪は全然治らなかった。体力が落ちていたんでしょうね。熱は下がるもののカラダがだるくて、だるくて…。そんな状態のまま、また徹夜する日々を2週間くらい繰り返していました。しっかり寝てカラダを休ませようとは思っていたんですが、つい友人に誘われて飲みにいっちゃたんです。酔っぱらって吐いたら、なんと血でした。正直、怖くなりましたよ」

若さにも限界があるということか。その頃を境に黒島さんの中で徹夜に対する考え方が少しずつ変わっていったという。
「夜、仕事をしていると無性に不安になることがありますね。『オレの人生はこれでいいのか』って。夜は自分のペースで仕事ができるものだから、普段考えないような将来のことを考えちゃんですよ。今の年齢なら、まだ方向転換というか、キャリアチェンジができるじゃないですか。だから迷っちゃうんです。でも、忙しくて転職活動なんてとてもできない。ネガティブになっちゃいますね。また、友人たちからの誘いも、断っているうちに、誘われなくなっていて、今じゃ誘われるのは週末だけですよ。なんか、大人って寂しいなぁなんて思っちゃいますね」

そんな黒島さんだが、周囲の先輩たちの優れた仕事に触れたときには、モチベーションが上がり、徹夜も厭わない気持ちになるという。
「徹夜で参っているときは、正直辞めたくもなりますが、もっと良い仕事をしたいと思うと続けられますね。ただ徹夜は減らしたいです。彼女ともあまり会えないし、別れちゃったら、今の状況で新しい彼女をつくることも難しいでしょうし…」

眠そうな目をこすりながら取材に応じてくれた黒島さん。取材が終わったのは夜10時を回っていたが、終了後も仕事だと言って会社に戻っていった。
 

ケース2:三十路手前の女性の叫び「私だって彼氏がほしい!」 

 

「夜は意外に短いんです」。
徹夜に関してどう思うかを問うと、田中香織さん(仮名)はそう答えた。前職は営業ウーマンとして活躍していたが、自分の限界を試すように忙しいベンチャー企業への転職を決意。今から4年前のことだ。

「転職前から現在の会社が忙しいことは知っていましたが、『人間って徹夜して働けるものなのか?』って思っていましたね。正直不安はありました。ですが面接で女性も多く活躍していると聞いて、できるだろうと思ったんです」
田中さんは大学時代は体育会系の部活に所属し、ハードな経験をしていたため、体力・気力は人一倍、自信があった。また前職は大手企業だったため、遅くても21時には帰路につく日々に退屈を感じることがあったのだ。そんな彼女は、入社2週間ほどで、始めての徹夜を経験することになる。
「始めての徹夜は、とても解放的に感じました。タバコを吹かしながら働いている先輩や、椅子を並べて寝ている先輩もいる。自由な雰囲気があったんです。始めての夜はあっという間でしたね」

その後、田中さんは新戦力として、膨大な仕事をこなすようになっていく。同時に徹夜の回数も驚異的に伸びた。そうして女性徹夜中毒者が誕生した。 「私の最高の記録では、連続5泊したことがあります」 記者はその言葉に耳を疑った。同時に様々な質問が頭をよぎる。「風呂は?」「化粧は?」「体調は?」と。男性と女性を差別するつもりは、まったくないが、やはり女性という点に驚かされる。
「徹夜をしてお風呂に入らないと、1日で髪が湿るというか、しっとりするんです。連泊してこれを知り驚きましたね。また、始めのころは、机や椅子で寝ている先輩を見て『すごい』と思っていましたが、慣れてくればどこででも寝られますね。ただ、やはり男性とはちがい、場所を選んで寝るようにしています。多いのは机ですね。始めは苦しかったのですが、眠気に勝てず、仕事をしながら気付けば寝ていることが多いです」
男性顔負けの徹夜っぷりには驚かされる。入浴や着替えについて聞いてみた。
「お風呂は、会社の近所にある漫画喫茶で済ませています。同僚の女性社員はここを嫌がる人も多くて、始発で帰宅する人がほとんどですが、私は面倒なので帰りませんし、下着も会社の近所で購入しています」
ボーイッシュな女性である田中さん。化粧は、ファンデーションを使わず、薄いため、さほど問題ないという。さらに「人目も気にならなくなりますよ」。そんな田中さんだが、「女性ならではの悩みもありますよ」と言うので伺った。
「生理です。ストレスと不摂生な生活で生理不順になったんです。やはり徹夜は身体に良くないですね」
田中さんが、徹夜をして体調を犠牲にしてまで、仕事を続ける理由はなんなのだろうか。
「大変ですが、仕事自体は嫌いじゃないんです。責任のある仕事を任せてもらえていますし、それに応えたいという気持ちがあります」
けっして派手ではなく、年頃の女性としては地味な格好。きゃぴきゃぴとした印象を受けることはない。しかし、その分、田中さんからは人としてのまっすぐな強さを感じることができる。気丈な女性だ。そんな田中さんには、今、大きな悩みがある。

「徹夜の最大の悩みは恋愛です」

取材の終わりに田中さんは寂しそうにそう語る。田中さんは現在29歳。結婚適齢期であり、周囲の友人の多くが結婚。結婚式に参加する度におめでたい気持ちになった後に憂鬱になるという。田中さんは、歳を重ねるごとに将来を悩んでいく。
「朝にタクシーで帰宅しながら、人が少ない都会の景色を眺めてラブソングを聞いていると、寂しくて堪らない気持ちになるときがあります。誰か、男性に頑張っていることを褒めてほしくなるんです」。
田中さんのキャラクターからは想像できない言葉に、正直記者は驚いた。ちなみに徹夜後の朝帰りに聴く田中さんのお気に入りの曲は、宇多田ヒカルの「First Love」だそうだ。そんな田中さんは、現在恋人募集中。もし立候補する男性がいたら、エンジニアLive編集部まで連絡をしてほしい。
最後に、まだ見ぬ恋人に対する田中さんからのメッセージを掲載する。

「まずは友人として交際できればと思います。もし、お互いの気持ちが確かめられたら、将来のことも一緒に考えられれば嬉しいです。よろしくお願いします」。

田中さんへの連絡先は以下

〒107-0052 東京都港区赤坂3-21-20 赤坂ロングビーチビル
(株)キャリアデザインセンター内 エンジニアlive編集部「田中さん恋人募集係」宛

※田中さんは本気でパートナーを募集しています。冷やかしの類いはお断りしております。
※田中さんにパートナーが見つかりましたら、打ち切らせて頂きます。予めご了承ください。
※田中香織さんは仮名です。お会いすることになったら本名をお伝えします。

ケース3:ベテラン徹夜中毒者の証言「徹夜は仕事を遊びにしてくれる魔法」 

 

21歳から働き始め、徹夜と10年近く戦い続ける「ベテラン徹夜中毒者」。それが今年で31歳を迎える武中和博さん(仮名)だ。
武中さんは、都内の専門学校を卒業後、現在の会社に入社。先輩社員が徹夜する環境を妙だとは思いながら、「せっかく入社した会社なのだから」と、自らも徹夜を繰り返すようになったという。

「当社の仕事は、業務性格上、新人時代は先輩とコンビで仕事をする必要があります。そのため、先輩社員と行っている仕事は先輩社員がOKを出すまで、帰宅できないんです。そして先輩たちは徹夜慣れしているじゃないですか。徹夜も癖になりますよ。」

独り立ちするころには、すっかり徹夜中毒者になっていた。そのため、身体を何度も壊したという。
「新人時代、先輩と仕事をしていて金曜日に急に体調を崩しちゃったことがあるんです。でも休日前でしょう。仮病だと思われたくなくて、言うに言えなかったんです。症状は風邪。おかげでこじらせちゃいましたよ。体力が落ちると思考まで脆弱になるのか、すごく寂しい気持ちになって落ち込みましたね。ほかにも、昔仕事が終わらず徹夜を続けていた時に体調を壊しましたことがあります。精神的に参いってたんでしょうね。仕事がうまくいかないストレスと、寝ないことで体力もなくなり、体中にジンマシンが出ちゃって…」

そのほかにも机で寝ることで、頸椎ヘルニアを患ったこともあるという。どれだけの夜を会社の机で寝れば患うのか、怖い話だ。
そんな暗い過去をまるで他人事のように笑いながら話す武中さん。失敗談も数多くあるという。
「前日に徹夜して、大切なお客様への訪問に寝坊して遅刻したことがあります。連絡してスケジュールを仕切り直したのですが、向う電車の中で、また寝過ごしちゃって…。一緒に働いていたパートナーが、あまりの怒りに翌日熱を出しちゃいましたよ。今じゃ笑い話としてお酒の席で後輩に話したりしていますけど、あれは本当に申し訳ないことをしましたね」

そんな武中さんには、徹夜のスタイルがある。

「ウチの会社は徹夜する人間が多いのですが、完全に夜通し働くことはしませんね。仮眠をとります。僕はまず寝る。多くの人が帰った終電過ぎくらいに3〜4時間くらい寝て、明け方に働くんです。夜の静寂の中での仕事は好きですね」

様々なスタイルの人がいると言うが、夜を共にすることで仲間との連帯感が生まれ、妙な仲間意識ができるという。
「徹夜するメンバーは大体決まっています。当然、仲良くなりますよね。すると夜が楽しみになるんです。恋愛話をしたり、仕事を頑張って終わらせ、飲みに行ったり…、とても楽しいですよ。アットホームな雰囲気で、学生の頃の修学旅行の夜を思い出しますね」
冒頭でも話したように武中さんの会社では、ベテランと新人が組んで働くスタイルだ。現在はベテランとして新人と組むことが多い武中さん。新人の徹夜にもとことん付き合う。 「最近は新人の仕事が終わるのを待って会社で朝を迎えることが増えましたね。新人には、厳しくしなくちゃいけないから、笑って話すことはできませんし、基本的には徹夜は良いことではないので、ともに働く新人を帰すようにしなくちゃいけないんですけど、僕も同じように育てられたから、要領よく働かすことができないですね。もう、これはウチの会社のカルチャーみたいなものです」

夜働くことが、日常的になっているが、昼は眠くならないのだろうか。
「昔は少し眠いくらいで平気でしたけど、28歳あたりから辛くなりましたね。そうした時は洗顔したり目薬をさしたりしていますが、とても耐えられないときは、便所の個室で寝るんです。狭い便所で15分くらい寝ると、窮屈だから足がしびれてきてその痺れで起きられていいですよ。少しでも寝るとスッキリしますし。同僚の中には眠くならないように立って仕事したり、ボールペンで血が出るまで腕を指していたりしていますけど、僕は寝ますね。そっちの方が効率的だと思うんですよね」

10年近く徹夜ばかりの日々を過ごす武中さん。転職を考えたことはないのだろうか。
「この業界じゃ徹夜は珍しいことじゃないですが、最近じゃ身体が心配で、考えることもあります。ですが、徹夜や夜働くこと自体は嫌いじゃないので。仕事に追いかけられると徹夜は辛いものですが、余裕がある徹夜は好きですね」

今回、取材させていただいた3人は、それぞれに異なる不安を持っているが、「仕事を完結させる」という強い責任感を共通して感じられた。
社会人として学ぶべきマインドだ。しかし、第三者から見て健康面では心配してしまう。徹夜を繰り返すことでの身体的な負担はどの位なのだろうか?専門家に聞いてみた。
「ラットを使用したある実験では細胞が破損していくことが分かっています。その実験内容は、ラットをほとんど眠らせないようにして5日間活動させること。すると、ホルモン分泌にかかわる脳下垂体の細胞の一部が死んでしまうことが判明しました。強いストレスが過剰なホルモン分泌を呼び、細胞が働きすぎて死を招き寄せるのです。徹夜勤務が続くなど過労が原因で起きる病気に関係しているかもしれないですね。たまの徹夜は仕方ないにしても、早めに休み、疲れをため込まないことが肝心だと思いますね」。
ラットと人間では、身体の大きさなど根本的に違うが実に怖い結果だ。身体に良いわけがないものであることは明白の事実。
それでも、あなたは、まだ徹夜を続けますか?

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