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次世代の技術・社会システム創造のリーダーを育成する社会人向け大学院――慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

2008年4月に開設された慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科。社会人が働きながら通えるうえ、システムや技術に関連する既存の大学院には無いユニークなカリキュラムが人気だ。

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慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科
研究科委員長 工学博士
狼 嘉彰 氏

――(編集部発言)慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科(以下、慶應SDMと表記)の設立経緯をお話しください。

狼嘉彰研究科委員長(以下、狼と表記) 大きな背景の1つに、著しく変化する現在の社会情勢に対応して、次世代の技術・社会システムを創造するリーダーの育成を行う必要性を感じたことが挙げられます。
社会人のみなさんの多くは実感していると思いますが、企業の経営判断においても、これまでのやり方が通用しにくくなっています。現行の社会システム・技術 システムをそのまま継続していくのは限界があると誰もが気づいているはずです。価値観が変遷し、ますます多様化が進む現代社会に適したシステムを創り出 し、それをマネジメントしていく。慶應SDMは、そうした時代のニーズに応えうる人材を育成することを主眼に置いています。

――システムデザイン・マネジメントといえば、マサチューセッツ工科大学(以下、MITと表記)が有名ですね。

 そうですね。ただ、MITが展開しているSDMのカリキュラムをそのまま踏襲しているというわけではありません。MITのSDMは社会人経験のある学生に限定し、工学系の科目に特化した内容ですが、慶應SDMは多様なバックグラウンドを持つ学生たちの「メルティングポット」を形成すべく準備された慶應SDM独自のカリキュラムといって差し支えないでしょう。

――慶應SDMは社会人とストレート進学の学生、それに文系と理系の学生が混在する大学院、という点が珍しいですね。

 そうです。私たちはそれを、人材のメルティングポットと表現しています。多様な視点や立場を持った学生たちが一堂に会する貴重な場だと思っています。そこから、これからの競争時代を、協調的に生き抜く柔軟性をもった人材が巣立つことを期待しています。

――カリキュラムを見ると理系寄りのようですが、文系出身者が不利になることはありませんか?

 システムエンジニアリングを中心とした理系の科目も多いですが、国際関係や、政治、政策、経済、金融といった文系の側面が強い科目も幅広く学ぶことになります。理解度に合わせて補講などを入れて進めますので、出身学部や専攻科目による有利・不利はないでしょう。そもそも人材を文系か理系かで分けること自体、時代遅れだと感じています。システムをデザインすることや、それをマネジメントすることに文系も理系も関係ないのですから。

――どんな学生が学んでいるのでしょうか。

 「一言では言えない」というのが端的な表現です。電力や宇宙開発、自動車メーカー、金融機関など企業に勤めながら通う学生もいますし、自衛隊に所属している学生、司法研修修了生、すでに大学で准教授に任命されている学生もいます。職種も技術者あり、ITエンジニアあり、営業あり、管理職あり、経営者ありと様々です。ありとあらゆる背景を持った学生が集う場だといえます。

――学生の平均年齢は?

 平均でいうと30代前半になります。ですが年齢層が幅広く分布しているので、学生全員が30歳前後というわけではありません。ストレートで進学した学生たちは20代前半ですし、年齢の高いほうでは60代の学生もいます。

――働きながら通う社会人学生へはどのように配慮しているのですか?

 はい。フルタイムで勤務する社会人の方であっても、平日6限目(19:00~)以降の授業、それに土曜日を活用すれば必修科目の単位を履修できるよう配慮しています。ただし、年に数回、実施されるALPSのような集中講義の際は、有給休暇などを活用してどうにか時間を確保してほしいところですね。 

ALPSの授業風景

――「ALPSのような集中講義」とはどういう授業ですか。

 海外からSDMについてのプロフェッショナルを講師として招く授業で、通常の毎週1コマ90分という形態ではなく、たとえば2日間、朝から夜まで集中で講義するものです。年に数回行われます。まさにSDMについて世界の先端をリアルタイムに知ることができる場を提供しているというわけです。
その中でも特に新しい試みは、MITおよびスタンフォード大学との連携で、3校が国際的に協力し合い、慶應SDMのための特別授業を作り上げている点で す。ALPSというのはこの授業のことで、Active Learning Program Sequenceの略です。「デザインプロジェクト」とも呼ばれ、学生がグループを作り、演習を中心に1年間アクティブに活動する中で、システムをビジネ スとして開発していくためのスキルやリーダーシップを習得します。グループ活動に必要なスキルは、2日間ずつ年5回の集中講義で指導しています。

――たしかにマネジメントの必要性は職種や業務を問わず、ついてまわるものですね。企業にいるとマネジメントについて専門的に学ぶ機会は得にくいでしょうから。

 おっしゃるとおりです。当学に通う社会人学生の多くが、「自分は努力しているし成果も出そうとしている。だが上層部の意思決定が結果に結び付いていないことが多い」という不満を抱えています。経験と勘と度胸での意思決定は、もはや通用しない時代になっているのです。
また、企業によっては優れたマネジメントのメソッドやノウハウを持っていますが、あくまでも社内で活用しているに過ぎない。そうしたノウハウを体系化して 理論として確立し、世の中に広めるということには消極的なのです。でも、今後はそうした取り組みが重要になると考えています。そうしたニーズに慶應SDM は応えるべく設立されたといえますね。

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