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IT業界 資格の実態 第6回「ITIL」(最終回)

最近よく耳にするITIL®だが、どのような資格なのだろうか。ITサービスマネジメントのマネージャ資格を持ちながらコンサルティング、セミナー講師と活躍している加藤氏にインタビュー

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 ITIL®とは

  ITIL® (Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントのベストプラクティスを集めたフレームワークである。1980年後半にイギリス政府商務省(OGC : Office of Government Commerce)がITサービス管理を実行する上での業務プロセスと手法を体系的に標準化したもので、IT運用における実際の知識・ノウハウが集約されている。
ITIL®の資格を認証している国際的に展開する独立系のIT試験機関であるEXIN (Examination Institute for Information Science)のHPによると、「ITIL® は、ITサービスのデリバリかサポートに従事するすべての方が対象となります。日常的なITサービスを管理しているか、既存のプロセスを導入し改善しているかにかかわらず、ITIL®は、国際的に認められたベストプラクティスに基くスタンダードが、皆様が提供するITサービス及びサポートへ適用させるためのお手伝いをいたします。」とある。
また、「EXINは、イギリス政府商務省(OGC)及びITサービスマネジメントフォーラムUK(itSMF) とともに、国際ITIL®資格認定委員会の創立メンバーです。EXINは、10以上の言語でITサービスマネジメントにおけるファンデーション、プラクテショナ及びマネージャの資格を提供し資格スキームを構築することで、世界中のITサービスマネジメントに関する専門家の認証において、重要な役割を担ってきています。」とある

ITIL®には、それを啓蒙・推進するユーザフォーラムのitSMFがあり、世界中で1000以上の組織が参加しており、ITIL®は欧米で業界のデファクト・スタンダードと認知されている。

ITIL®資格の詳細について

 現在、ITIL®の資格制度は、バージョン2の後継であるITIL®バージョン3が2007年5月末にITIL®の新しい文献が出版されたことに連動してバージョン3対応の試験が導入されている。しかしながら、バージョン2が主としてプロセスの解説と管理の対象としているのに対し、バージョン3はライフサイクル全体の管理を対象範囲としているため、試験の目的が異なることから、バージョン2の試験も今後も当面は行われる予定である。    
ITIL®のバージョン2では、3つの独立した資格試験(ITIL®ファンデーション資格、ITIL®プラクテショナ資格、ITIL®マネージャ資格)がある。
対応の試験一番ニーズが高いITIL®ファンデーション資格試験については、「表 ITIL®ファンデーション資格受験(ITIL®に基づく)」を参照のこと。

        表 サービスマネジメントのファンデーション資格受験(ITIL®に基づく)

                                 資格取得について
資格取得対象者 ITIL®に従って組織化された、ないしはされるであろうプロセスにおいて働くことが要求される、ITインフラストラクチャ・マネジメントに携わる従業員
将来的にITサービスマネジメントにおけるプラクティショナないしはマネージャ資格の取得、またはISO20000分野の認証へと進むことを希望する受験者
ITサービスマネジメントのファンデーション資格は、プラクティショナやマネージャ資格を取得しようとする者
前提となる知識、スキル、および実務経験 特になし
試験日・試験会場 ピアソンVUE
プロメトリック等にて
日程、全国の試験会場等を選択し、申込を行う
詳細は、各試験実施機関のHPにて確認のこと
試験について [試験時間] 
60 分
[試験のタイプ]
コンピュータ・ベースの選択式
[試験の詳細]
問題数:40問
[試験要件]
1. 組織に対するITサービスとITインフラストラクチャの重要性 (2,5%)
2. 事業組織に対するプロセスに基づくアプローチ (5%)
3. ITインフラストラクチャのマネジメントに関するITIL? の プロセスとそれらの相互関係 (62,5%)
4. 基本コンセプト (30%)
受験料 20,160円(税込)
合格発表等 合格点:65%(40問中26問)
コンピュータによる試験終了後、受験者には、即時に合格・不合格の結果がでる
問い合わせ EXIN (http://www.exin.jp/)または、各教育機関へ問い合わせのこと
その他 試験準備のため、模擬試験が無料でダウンロードできる

                 注)上記の資格要綱はバージョン2対応の試験となっている

 上記の通り、ITIL®のバージョン2のファンデーション資格は、認定研修を受講しなくても受験出来る。多くの受験者は、認定研修や同様の研修を行っている機関で研修を受講して考え方を学び、受験するということが多いようだ。日本における2008年の合格率は85%であり、取得しやすい資格と言えるだろう。
しかし、ITIL®プラクテショナ資格、ITIL®マネージャ資格においては、認定研修の受講が義務ずけられており、研修日や100万程度の費用の確保を行った後、難易度の高い試験の受験(マネージャ資格では、3時間の論述形式)が必要になり、一気に資格取得のハードルが高くなっている。それを裏付けるように、EXINによる2008年1月25日付の資格取得者数は、ファンデーション資格者57,110人、プラクテショナ資格者270人、マネージャ資格者270人であった。

 一方、ITIL®のバージョン3では、4段階に分かれた資格試験(ファンデーションレベル、Intermediateレベル、ITIL Expert、ITIL Master)となっている。 現在、バージョン2の資格保持者については、差分コースを受講し認定試験に合格することによって、バージョン3の資格を取得することができるという救済措置もとられている。

 今回、最近話題になっているITIL®の資格を調査してみたが、ITIL®全体をとらえることが非常に難しいということに気がついた。さらに、現在、バージョン2からバージョン3への移行や日本語試験への対応などの制度の複雑さは、これから資格を取得しようとする人にとって一層わからない資格になっているのではと懸念する。
しかしながら、長年ITIL®の資格に密接に関わっているIT&ストラテジーコンサルティングの代表取締役の吉田氏によると、「ITIL®の考え方は、ITの運用ではなく、ビジネスでITをどう活用していくかということであり、考え方は非常に有効である。そういった意味では、ファンデーション資格の勉強でも十分。特にバージョン2のプロセスアプローチという観点は、ITサービスの改善には有効なヒントがたくさんあるので、まずはバージョン2の学習から始めていただきたい」とのこと。
ITIL®の学習をすることによって、ただのシステム運用から、ビジネスで効果的なIT活用を考えていくという視点を得ることが出来るのであれば、有効だとも言えるだろう。一度、学習してみてはいかがだろうか。

※ITIL®の著作権は、英国政府OGC(Office of Government Commerce)にある。

次のページからは、資格取得者のインタビューです!!

筆者プロフィール

土方千代子

独立系ソフトウェア会社およびコンサルティング会社にて、システム開発を経験後、IT化戦略立案、IT分析・評価、および、業務改革・改善などのコンサルティング活動や各種研修講師として従事。独立後は、経営戦略~IT導入までの各種コンサルティングや、企業を支える人の支援を積極的に行っている。

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