ホーム > 働き方を考える > Webクリエイターユニット「Astrodeo」の風変わりなサービスと風変わりな生い立ち、そして真っ当な仕事観に迫ってみる

働き方を考える

Webクリエイターユニット「Astrodeo」の風変わりなサービスと風変わりな生い立ち、そして真っ当な仕事観に迫ってみる

20代の男性クリエイター2名で構成されるWebクリエイターユニット、「Astrodeo」。Astrodeo結成に至る経緯とWebサービスプロデュースに対するこだわり、仕事への情熱を赤裸々にリポート。

2009年1月リリースの「温泉データベース」が好評なWebクリエイターユニット「Astrodeo」。
2008年だけでも6つのオリジナルWebサービスをリリースするなど、精力的な活動を展開している。

Webデザイナーの吉原豪氏とプログラマの高遠和也氏の2人(ともに26歳!)で構成されたこのユニットがリリースするサービスはどれも風変わりでユニーク。しかしユニークなのはサービスだけではなかった!?

代表の吉原氏を中心に、「Astrodeo」の生い立ちそしてポリシーに迫る。

カノジョの妊娠を機にWebデザイナーの世界へ!?

吉原 豪 氏

「あんまし勉強とか好きじゃなかったですね。パソコンとか大っ嫌いで、中学の情報処理の授業んときはPC教室の電源、全部引っこ抜いて授業中止にしちゃったくらいです。かなり“やらかす”子供でした」

そう語る吉原氏の経歴は非常にユニークだ。中学卒業後に就職した先はなんと、農家。Webデザイナーとは全然、関係ないキャリアを歩んでいる。

「人間の基本は農業かな、と思いまして」

吉原氏は伊豆の農家に泊り込みで、みっちり1年間、農業に打ち込んだ。

その後は調理師免許を取り、長野県の実家が経営するアウトドアスクールで出す食事の調理を担当。
「作物をつくって、調理して食べる。人間生活の基本を地で行った感じですね」
そのほか、カヤックインストラクター、ラフティングガイドとしても活躍する、まさにアウトドア人間まっしぐら!なキャリアを歩んでいた。

アウトドアスクールの仕事のない冬場は東京に上京してコンビニの店員などフリーター生活を謳歌していた吉原氏だが、アウトドアスクールのホームページ制作を担当したことがきっかけでWebの面白さを発見。

「独学でHTMLをシコシコいじっているうちに、当時付き合っていたカノジョ(現在は奥様)が妊娠したことがわかりまして。こりゃあ手に職つけて働かないと、と思って本格的にWebデザイナーの勉強を始めたんです」

妊娠が発覚した時点でWebを触っていなかったら建築現場労働者になろうかと思っていた、と冗談まじりに話す吉原氏だが、その後に入学した専門学校では文字通り寝る間を惜しんでWebデザイナーとしてのスキルを習得。学歴不問のWeb制作会社に作品を持ち込み、それが認められて晴れてWebデザイナーとしての第一歩を歩み始めた。

中学時代の同級生だった高遠氏を誘って個人事業主として独立

高遠和也氏

3年ほど経験を積んだ後、自分のオリジナルWebサービスを世の中に生み出したいとの意向で吉原氏は個人事業主として独立。
中学時代に同級生だった高遠氏を誘って現在の「Astrodeo」の構成が整った。

「吉原に誘われるまでは業務系プログラマとしてJavaを中心に客先常駐の形態で働いていました。ただ、プロジェクトごとに現場を転々とする業態が刹那的 で馴染めなかったんですね。じっくり腰を落ち着けて、気心の知れた人間とずっと一緒にいたいと感じる人間だったので。吉原から誘われた時点ではPHPなど Webで使う技術についてはまったく無知だったのですが、これも何かの縁、とばかりに勢いで共同独立しちゃいました(笑)」(高遠氏)

実は高遠氏、東京に上京して住んでいたのが吉原氏のお祖母さんが経営するアパートだったとのこと。長野の高校を卒業後に名古屋の大学へ進学、その後東京に上京はしたもののフリーターとしてアルバイト漬けの生活を送っていた高遠氏だったが、アパートが火災に遭い、その補填ができずに大家としての吉原氏のお祖母さんから借金をしたという経緯を持っている。そのときの借用書に吉原氏の提案で「就職すること」という条件をつけ、それがきっかけで技術者として就職したのだそうだ。薄からぬ縁で結ばれた2人といえるだろう。

「僕はもともと、高遠にはプログラマとしての素質があると思ってたんですよ。だからどうにかして彼を技術の道に進めたかった。借金がきっかけで、ある意味、僕が高遠に貸しができた形となり、あえて借用書に“就職すること”という条項を盛り込んだことで、うまく高遠を技術者にすることができた。個人的には、2年かかって他の会社に高遠を育ててもらうという“投資”が、Astrodeoのメンバーになってもらうことで回収できたという印象を持ってます」(吉原氏)

20代の今だからこそできた「独立」

だが若干25歳という若い年齢で独立することについて不安はなかったのだろうか?

「もし(Astrodeoの経営が)ダメになっても、Webの世界でフリーランスとして数年間の実績があれば、良い待遇でまたどこかに雇ってもらえるだろう、という保身も算段としてはあります。これが30歳超えてたら考えちゃうところですけどね(笑)」(吉原氏)

「もしうまくいったら行ったで、法人化した暁には取締役に就任できるわけで。。。ないないづくしで社会に出た自分たちからすれば、一発逆転のチャンスがあるわけです。(Astrodeoとしての成功と失敗の)どっちに転んでも、自分たちのキャリアを見れば今こうして活動することはマイナスにはならないので、ある意味、気楽にフリーランス生活を楽しめているといえますね」(高遠氏)

技術者のキャリアというと一般的に思い浮かぶのは企業に勤めて実績と評価を得ることだが、Webクリエイターのキャリアアップは必ずしも企業勤務だけに限らないことを再確認させられる発言だ。
事実、フリーと勤め人を行き来するという形でキャリアアップを実現する技術者は少なくない。組織内でじっと昇進を待つのも手だが、新規ベンチャー企業の経営幹部として厚待遇で迎えられる可能性も、フリーの技術者には拓けているのだ。

「自分が好きなものしかやらない」ことが戦略

Astrodeo発のWebサービス、「麻雀王国 何切る
「麻雀で何切る」がオンラインで遊べるサイト。
選んで切る、それだけの機能だが、
麻雀好きなら楽しめるハズ。

ユニット成立の経緯もユニークだが、「Astrodeo」のリリースするサービスは風変わりなものが多い。2人ともWebプロデュースの経験があるわけではない中、サービス作りに際してどんなことに留意したのだろうか。

「自分の好きなことしかやらない、ということでしょうか。たとえば『温泉データベース』をつくろうと思ったきっかけは、私自身が温泉マニアだからです。つ まり、自分自身がサービス利用者として完璧に合致するものだけを創るということですね。そうすれば、『温泉データベースの記入項目に“Ph値”は欠かせな い』などと、その情報を欲する人の立場に立てるわけです」

○○検索サービス、といったWebサイトは無数に存在するなかで、そうした競合サイトとの最大の差別化要因は「本当に利用者にとって有用なデータを提供できているかどうか」だと言う吉原氏。

「よく、Webサイトをつくると『SEO対策が大事』と言われますよね。でも最近の検索サイトは、たいしたWebサイトではないのに検索結果の順位を上げ るといったゴマカシのSEO対策では効かない仕様になってきています。逆にいうと、ちゃんとしっかり良い物を創っていれば自然と順位が上がる仕組みになっ ている。だからしっかり、良い物を創っていこうじゃないか、と」(吉原氏)

技術面で言ってもAstrodeoは、ログインシステムにオープンIDを採用するなど、トレンドへの配慮も忘れていない。つまり、短期的な流行に乗れるかどうかに関わらず、サービス単体としては常にクオリティの高いものをリリースし続けているといえるだろう。

「いくつかWebサービスをリリースしてきましたが、いまだに『これをやれば当たる!』という法則は見出せていません。正直、どのジャンルについてもWebサービスが『出尽くした感』もありますね」(吉原氏)

だからこそ「よりニッチな方面を攻める必要がある」というのがAstrodeoの方針だ。
「グルメ、ではなくてラーメン屋」
「旅行、ではなくて温泉」
と、ピンポイントで単独のジャンルを開拓していくことに今後のWebサイトとしてのヒットがあるのでは、と吉原氏は予想している。

「好きなことをやって食っていられる」技術者になれ

では、読者へのメッセージを。

「技術者って、自分のやりたいことやって食える可能性がすごく高い職業だと思うんですよ。実際、自分には学歴もありませんでしたし、最初からWebクリエイターとして社会人生活をスタートしたわけでもありません。それでも今こうして、好きなことをやって、それでしっかり食えてますからね。モノづくりが好きな人なら、すごく挑戦し甲斐のある仕事だと思いますよ。たまたま勤めてる会社が受託開発ばかりで自分のやりたいことができないとストレスを抱えているとしても、技術があれば必ず、生き方を選べます。だからとことん前向きにのめり込んで、誰にも負けない実力をつけてしまえばいいと思う。そうすれば必ず、生きたいように生きられるはずですから」(吉原氏)

「自分も技術者になる前、フリーターとして日々のアルバイトをこなすだけの生活を送っていました。完全に同じところをぐるぐるとループしてましたね。でも今は、昨日の自分よりも今日のほうが、技術力があるという事実を感じながら生活できています。将来どうなりたい、という明確なビジョンは正直、まだ描けていないのですが、日々、成長できている分、未来に対して不安よりも期待・楽しみを感じながら過ごすことができています。もともと性格的に向いていたのかもしれませんが、ほんとにプログラマになってよかったなぁ、と思えてます」(高遠氏)

若さゆえの情熱と、若いながらも着実に築いた実績とで絶妙なバランスをとっているAstrodeo。今後の成長が楽しみだ。 

台東区入谷のAstrodeoオフィスにて。台東区は起業家に向けて様々な支援を行っており、東京で起業したいベンチャー企業にはありがたい区のひとつだ。

=取材協力=
Astrodeo

@type 市場価値診断 あなたの市場価値がその場でわかる!


typeのIT派遣 - ITエンジニア・技術者専門の人材派遣サイト

ページトップへ